高齢者在宅介護における家族の介護意識に関する研究 : 高齢者虐待予防の視点から
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概要
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在宅高齢者虐待を未然に防ぐためには、家族間交流の現状を把握する必要がある。本研究は高齢者の虐待事件が毎日報じられている現状の中で、家族間のコミュニケーション不足から虐待事件が起きる可能性が高いとの仮説を立て、これまで家族間でタブー視されてきた介護や死について、実際に介護を受けるであろう高齢者自身がどのように意識しているのかを調査し分析したものである。調査結果から、介護や死について家族と話したことがない、話したいと意識している高齢者が多数いるという結果が出た。高齢者虐待は何らかの家族病理が引き起こすことは否定できないが、筆者の体験からは、介護負担や介護無知から引き起こされることも多くある。高齢者虐待を未然に防ぐためには在宅介護は常に担当ホームヘルパーとそれを支える専門家チーム(介護福祉士、ソーシャルワーカーなど)との連携体制を確立することが急がれる。この体制から生み出される新たな介護技術が担当ホームヘルパーの介護技術のレベルを高めるとともに家族の介護意識を高め、家族の介護負担が軽減し家族間交流が円滑に図られることにより高齢者虐待予防に結びつくことが今後の課題である。