グローバル経済の貿易構造
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概要
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本稿では、グローバル経済における貿易構造を考察する。まず、経済のグローバリゼーションを,経済関係が拡大・深化する中なかで形成された多次元の関係連鎖とそれらの相互作用と定義する。そして、その歴史的画期を1980年代の後半とし、アジア経済の発展が経済のグローバリゼーションの変動を体現したものであることが述べられる。次に、(1)企業の垂直的統合が解体され企業関係のネットワークが形成されること、(2)中間投入財貿易が拡大すること、(3)垂直的差別化された双方向貿易が拡大すること,という3つの次元から貿易のグローバリゼーションの特徴を提示する。さらに,経済関係の多次元的連鎖構造として,(1)グローバル・バリューチェーン(GVC),(2)ネットワーク,(3)生産システムを定義する。その上で,グローバリゼーションにおける企業関係と国民経済関係に注目する。GVCは多数の企業と国を巻き込んで形成され,国際的投入産出構造は貿易により統合される。その中で,企業は効率化を追求し,信頼関係と階層関係を構築していることに注目する。また、GVCの集合体であるネットワークや生産システムを鳥瞰すると,国民経済間の階層関係や異質化がみられることが考察される。
- 2008-12-11
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