貨幣資本の蓄積不足と管理通貨制
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概要
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本稿は、第一に管理通貨制を貨幣資本蓄積不足との関連で理解している。現代世界経済の基本的特質は各国独占の成立だが、これは同時に非独占部門との利潤率格差を構造化し、自らの蓄積開始にあたって必要な国内非独占部門の貨幣資本が常に不足するという矛盾に直面する。管理通貨制とはこの矛盾を打開すべく国内銀行組織の代表としての中央銀行の保証準備発行が全面化した体制であるとする。第二に、管理通貨制においては国内非独占部門の蓄積促進こそが鍵をなすとする。中央銀行の信用増大は国内預金の増大を必至とするがその基礎は国内非独占部門の生産拡大にあり、同部門に対する有効需要創出政策と在外バランスの政策的管理必至だからである。第三に、管理通貨制も普遍的な貨幣流通=世界的な金流通の枠組みを超えるものではないとしている。国内外貨幣資本移動、特に証券投資等の送金管理の必要から内外金移動の自由は政策的に停止されるが、為替平衡資金設置が内外貨幣資本移動に伴う両替業務を媒介しているのである。最後に、以上の基本認識を基に現代の通貨金融問題に対する若干の展望を与えている。
- 2008-12-11