北東ユーラシアに見られる口腔共鳴音具による発声風習について : アイヌ口琴ムックリと喉交換遊びレクッカラ(音声生成・知覚,聴覚心理,音声学・音韻論,一般)
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概要
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口腔共鳴音具で声を出す風習と,他人の声を自分の声道で変調する樺太アイヌの遊びレクッカラを論じた.口腔共鳴音具や他人の声は,声門閉鎖と無言調音運動により,音韻を帯びた音声へ変換可能である.アイヌ語の口琴名ムックリは{muk閉じた+kut喉+ni木の楽器}を意味するのではないか.発声口琴の初出は北宋の書物『夢渓筆談』にある〓叫子である.清代の民族誌には,口琴はヒソヒソ声を出したとある.口琴の原雑音は摩擦音であり,このことは摩擦音を音源とする人工喉頭が可能であることを示唆する.レクッカラ資料のソノグラムには,原雑音の模様とともに二次的に合成されたフォルマントも描かれる例があり,レクッカラが音声合成のゲームであったことを窺わせる.口腔共鳴音具と喉交換ゲームは,そもそものはじめから音声を合成する目的をもっていたのではなかったか.
- 2008-06-20
著者
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