クリスタ・ヴォルフのエッセイ『ベッティーネ論』について
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概要
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ベッティーネは後期ロマン派の中心人物クレメンス・ブレンターノの妹であり、アヒム・フォン・アルニムの妻である。文学史では50 歳になってから書いた『ゲーテとある子供との往復書簡』の著者として知られている。ベッティ-ネ像といえば、一般的には彼女の若い頃のイメージ、例えば妖精のようなとか、自己抑制を知らない少々無作法な子供、両性具有、夢想家というイメージで捉えられている。或いは、クレメンスとアルニムを硬く結び付けている存在という見方もなされ得る。しかし、アルニムとの結婚の間は、妻として7 人の子供の母としての裏方の役目を立派に果たした。若い頃の彼女からは信じられないことだった。その後、夫の死後に彼女の第三の人生が始まる。この場こそが彼女の本領が遺憾なく発揮された表舞台となった。さて、2 作目に彼女の青春の友との交友を扱った『ギュンデローデ』を書くが、この著書は単なる青春の回想記ではない。50 代の彼女の新しい体験と重なり合って結びついていて、それ故に独特の趣のある作品になっていると、クリスタ・ヴォルフは作家の鋭い目で洞察している。ここでは、その検証を試みる。
- 2008-03-01
著者
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