<日本宗教史>を脱臼させる : 研究史読解の一試論(<特集>宗教批判の諸相)
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概要
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日本宗教史という概念は明治末年に英語圏の読者に向けて英語として鋳造されたものであり、その後日本語に翻訳された。しかし、そこで含意される日本固有の宗教というナショナリズム的な排他性が戦後の研究者たちには敬遠されたこともあって、日本の宗教研究のなかでは好んで取り上げられる主題としては定着してこなかった。だがその一方で、キリスト教、仏教、神道、新宗教、民間信仰などの具体的な個別研究のなかでは、日本宗教の在り方が超越的なものと土着的なものの交渉過程として把握される試みが行われてきたともいえる。そこにおいては日本宗教は諸宗教の異種混交の場として捉え直され、最終的には超越的なものと土着的なものの二項対立、さらには日本宗教や個別宗教の単位自体が脱臼されつつあると言えよう。
- 2008-09-30