宗教についての思索と宗教批判 : 西田幾多郎の思想を手がかりに(<特集>宗教批判の諸相)
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概要
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宗教に対する批判は、正面から宗教の無意味性を語るという仕方でなされる場合もあるが、しかし明示的に語られる場合だけでなく、宗教の意義について語りつつ、その言説が実質的に宗教に対する批判を含意するということもありうる。というのも「宗教」一般について語るという行為は、個々の実定的宗教に対する批判をそのうちに含みうるからである。それを批判し、そのあるべきあり方を語るという文脈のなかで「宗教」ということがもちだされうるからである。たとえば西田幾多郎の宗教論のなかにわれわれはその例を見ることができる。西田がその思索のなかで宗教に重要な意味を与えていたことは明らかであるが、西田が宗教について語るときに念頭にあったのは、具体的な個別の宗教のことではなく、彼が宗教のあるべき形態として考えるものであった。そのあるべきものについての論述は、宗教の具体的形態に欠けているもの、あるいはそこで実現されていないものについての認識を踏まえての論述であり、個別の宗教への批判を内包するものであった。
- 日本宗教学会の論文
- 2008-09-30
著者
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