宇宙用波動歯車装置の潤滑機構に関する研究
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概要
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波動歯車装置は3つの主要な機械要素,ウエーブジェネレータ(WG),フレクスプライン(FS)およびサーキュラースプライン(CS)からなる精密歯車装置である.同装置は,軽量かつ高精度などの特長により宇宙用途としても広く使用されてきている.本報では,シクロペンタン油または同油を基油とするグリースで潤滑された波動歯車装置の真空中および大気中での潤滑メカニズムの研究成果を報告する.波動歯車装置の潤滑状態を明らかにするため,構成要素間の接触電気抵抗を測定した.その結果,全てのしゅう動部において,真空中の接触電気抵抗が大気中よりも低くなり,真空中では容易に金属接触が起こりやすい潤滑状態になることが明らかとなった.続いて,最も雰囲気依存性が著しいWG/FS間について,混合潤滑解析を行った.その結果,大気中では,大気圧による流入とWG/FS間のスクイーズ運動による流出により油の量が保存されるのに対し,真空中では流出のみで潤滑剤不足になることが明らかとなった.大気と真空に依存した潤滑状態の著しい変化は,このメカニズムによりもたらされる可能性が高い.
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