フォッキニアによるインドシナ半島の古気候復元の可能性
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概要
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インドシナ半島の山岳城に自生する針葉樹フォッキニア(Fokienia hodginsii)の年輪気候学的な可能性を検証するため,ベトナム北部で40個体の高齢木から年輪コアサンプルを採集した。これを解析した結果,供試木の29個体については年輪の欠損と同一個体内での年輪成長の異方怪のため,年輪の絶対年代を完全に決めることはできなかったが,残り11個体については厳密な年代が特定でき,年輪幅の変動も個体間でよく同調していた。これら11個体をもとに構築した標準年輪年代曲線は西暦1444年まで遡り,これまで報告されている東南アジアの標準年輪曲線では最長のものとなった。また,気候データに対する年輪幅の応答を解析したところ,前年雨期と当年雨期前の高温と寡雨がフォッキニアの肥大成長を抑制することがわかった。フォッキニアは,インドシナ半島北部の山岳部に残存しており,分布記載のあるラオスや中国南部のほか,ミャンマーにも分布している可能性が高いので,気候復元の地域的拡大も可能である。
- 2007-04-01