米国私立総合大学看護学部の2007年訪問調査から
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概要
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米国看護大学訪問調査の目的は国際学術交流の可能性を検索すること、訪問にともない米国看護大学の現状を把握、記述し、看護の変遷が国の政策にどう影響されているかを理解し、その結果をもとに、日本赤十字九州国際看護大学の看護教育、研究における国際交流について提言をすることである。対象とした看護大学は米国私学総合大学3校である。私学は大学のMission, プログラム、その運営の如何がすぐ大学の特徴、繁栄に影響し、また国の医療政策にも影響されるので米国の先進国の国際活動が成功している大学の現状を調査することで、日本赤十字九州国際看護大学の将来の活動に得るところがあると考え、文献検索の結果、ペンシルバニア大学、ジョンズ ホプキンス大学、エモリー大学の3大学を意図的に選択した。これは看護の国際活動を重要視する日本赤十字九州国際看護大学の方針と一致するためである。訪問期間は2007年8月4日から9月6日までであった(ペンシルバニア大学、2日間、ジョンズ ホプキンス大学1日、エモリー大学3日間)。データー収集法は大学教員、および学生のインタービュー、見学、資料収集からなる。3校とも基本的には修士レベルの看護の臨床能力の強化(Nurse Practitioner, Clinical Nurse Specialist)及び博士レベルの大学院の充実という点が共通であった。これは米国の医療政策、即ち、医療出費の削減、ケアの質の確保、健康保険をもたないMinorityのための公平な医療ケアの提供などのヘルス需要を看護職者から満たそうとした動きと考えられた。さらに看護界、またヘルスケアシステムの生存競争に勝ち抜くために看護リーダーシップを発揮できる博士号を持つ看護教員と優秀な院生の確保が強調されていることがわかった。過去の歴史、大学を取り巻く環境、地方文化など、それぞれの大学に特徴はあるが、どの大学も国のヘルス政策を看護専攻分野に反映していた。国際交流の体制はどの大学も事務管理職員体制、及び国際交流担当教員、国際交流センターを備えていた。また大学院プログラムには留学生を受け入れていた。
- 2008-06-30