LacZマーカーレスキューアッセイ法によるRD114ウイルス検出法の確立(ウイルス学)
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概要
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すべてのネコはRD114ウイルスという感染性の内在性レトロウイルスをもっている.ネコの細胞を製造に用いた弱毒生ワクチンには,RD114ウイルスが迷入する可能性がある.ネコ用ワクチンにおけるRD114ウイルスの迷入を調べるために,今回我々はLacZ遺伝子をマーカーとしたマーカーレスキューアッセイを開発した.調べた4種類のヒト由来株化細胞(TE671細胞,HeLa細胞,293T細胞,HT1080細胞)のうち,TE671細胞(ヒト横紋筋肉腫由来細胞)がRD114ウイルスにもっとも感受性が高く,また同細胞においてウイルスが効率よく増殖した.RD114ウイルスの感染は,ウイルス吸着時にpolybreneを2μg/mlから8μg/ml添加することにより約5倍増大した.最大のウイルス力価を得るためのウイルス吸着時間は4時間で十分であった.LacZ遺伝子を導入したTE671細胞に階段希釈したRD114ウイルスを接種したところ,限界希釈したサンプル(すなわち10感染ユニット未満)において,ウイルス接種後12日後にLacZマーカーレスキューアッセイによりウイルスの検出ができた.今回得られた結果をもとに,感染性のRD114ウイルスを検出するLacZマーカーレスキューアッセイの標準法を提唱する.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2008-08-25
著者
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宮沢 孝幸
京都大学ウイルス研究所・附属新興ウイルス感染症研究センター・病態解明チーム
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坂口 翔一
京都大学ウイルス研究所・附属新興ウイルス感染症研究センター・病態解明チーム
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岡田 雅也
京都大学ウイルス研究所・附属新興ウイルス感染症研究センター・病態解明チーム
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庄嶋 貴之
京都大学ウイルス研究所・附属新興ウイルス感染症研究センター・病態解明チーム
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馬場 健司
京都大学ウイルス研究所・附属新興ウイルス感染症研究センター・病態解明チーム
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坂口 翔一
京都大学ウイルス研究所・附属新興ウイルス感染症研究センター・病態解明チーム:帯広畜産大学畜産学部獣医学科
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宮沢 孝幸
京都大学ウイルス研究所細胞生物学研究部門信号伝達学研究分野
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宮沢 孝幸
京都大学ウイルス研究所
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