児童養護施設における青年期前期の子どもの愛着状態と心的外傷性症状
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では,児童養護施設で生活する中学生を対象とし,青年期前期における特性としての愛着状態と心的外傷性症状の関連を検討した。対象は調査への協力が得られた児童養護施設10施設で生活する中学生146名であった。階層的重回帰分析の結果,男子より女子の方が心的外傷性症状は強く,両価性の愛着特性が心的外傷性症状を強めることが明らかとなった。 このことから,愛着の両価性が心的外傷性症状を強める方向に影響することが明らかとなり,女子の方が心的外傷体験に曝されやすいか症状が強く表出される傾向にあることが示唆された。また男女別に行った分析結果から,男子においては,年齢が大きいほど,両価性得点が高いほど心的外傷性症状が強く,入所年齢が低いほど心的外傷性症状は強い有意傾向が見出された。女子においては,両価性得点が高く,回避性得点が高いほど心的外傷性症状が強いことが見出された。 これらの結果は先行研究を支持するものであり,さらに青年期前期において愛着システムが活性化される過程と,愛着システムが心的外傷性症状へ及ぼす影響に,性差の存在する可能性が示唆された。
- 2008-08-10