日本における生命維持治療の中止と差控え
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
米国や英国の専門職団体の指針、大多数の生命倫理学者の見解等によれば、生命維持治療の差控えと中止の間に道徳的に重要な違いはないとされる。その差控えと中止はどちらも許容されており、それらの決定は、同じ規準に従って行なわれる。日本の有力な生命倫理学者も、その考え方を支持している。しかし、米国等とは異なった制度的・文化的背景を持つ現在の日本で、生命維持治療の中止をその差控えと同じ条件で許容すれば、一層大きな心理的負担が、末期患者やその家族、医療従事者にもたらされる恐れがある。そのような望ましくない結果を防ぐために、生命維持治療の差控えと中止の間に道徳的な違いがないという考え方を受け入れるとしても日本でその中止を差控えと同じ条件で許容しないことが正当化され得る、と我々は論じる。
- 日本生命倫理学会の論文
- 2006-09-25
著者
-
水野 俊誠
東京大学大学院医学系研究科:慶応大学大学院文学研究科
-
水野 俊誠
東京大学大学院医学系研究科生命・医療人材養成ユニット
-
横野 恵
早稲田大学社会科学総合学術院
-
横野 恵
早稲田大学法学部助手
関連論文
- 精神病、精神疾患の概念に関する問題
- 日本における生命維持治療の中止と差控え
- カナダ憲法判例にみる未成年者の医療に対する親の権利-輸血拒否をめぐる最高裁判所判決を中心に-
- カナダにおける未成年者に対する医療と同意 : 児童保護立法による介入を中心に