バイオエシックスと人権に関する世界宣言 : UNESCOと生命医科学関連NGO
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
2005年10月19日、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)第38回総会は「バイオエシックスと人権に関する世界宣言」を採択した。これは21世紀におけるバイオエシックスの発展にとって極めて重要な意義を有する画期的な出来事である。UNESCOは、すでにその形成の初期から、科学技術の進歩と人間の尊厳・倫理のありかたに関する問題点に取り組み、様々なプロジェクトを展開してきた。たとえば、1975年にはブルガリアで「生物学と倫理」UNESCO国際会議、1991年にはモスクワにおいてUNESCO最初の国際的なバイオエシックス会議などが開催され、世界諸国の文化や社会、歴史、思想の広がりの中での生命医科学技術の正しい進展のためのガイドラインや教育の重要性が指摘された。1993年にはUNESCO国際バイオエシックス委員会(IBC)が設置されるに至った。本「世界宣言」では、1970年代からの生命医科学関連NGO、たとえばCIOMS,WMAなどで形成されてきたガイドラインや国際機関たとえばCEなどの条約も、その前文で留意すべき行為規範・ガイドライン文書として明記されている。これは、従来の国連関連の文書とは異なったユニークな構成である。グラースルーツの人権運動を基盤にしたバイオエシックス運動の世界的な蓄積が、このようなUNESCOの正式文書として国際世論の支持により宣言されたことを積極的に評価したい。
- 2006-09-25
著者
関連論文
- バイオエシックスと人権に関する世界宣言 : UNESCOと生命医科学関連NGO
- 「戦争とテロ」に抗するバイオエシックス : Narrative Approachによるベトナム体験(第18回日本生命倫理学会年次大会シンポジウム)
- リハビリテーション2020(第5回)対談 木村利人×川合秀治
- 患者中心の発想 : 医療の質的変革をめざして
- 河井道先生の精神と教育基本法
- 医事法トピックス ユネスコ・バイオエシックスと人権に関する世界宣言