関係のなかの自己決定 : 関係に生きる者が医療の現場で決断主体となるために
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概要
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自己決定とは、過去、医学が優生思想に発する非人道的行為に利用されてきた歴史に対して、わたしたちの存在を真にまもろうとするなかで獲得されてきた原理である。この医療倫理の原則としての原理は、重要であると同時に、それを過度に強調することで多くの問題を生むものともいえる。自己決定の原理は、排除の論理として用いられたり、医師の責任放棄のために利用されたり、病者の過度に個我的な自己決定を補強するために用いられてはならない。マルティン・ブーバーは、人間は関係性のなかに生きる存在である、と論じている。関係に生きる私たち病者の固有の生が、医療の現場において真に守られるために、この自己決定の原理はどのように捉えられてゆくべきか。この問いに対し、本稿では、病む者の視点から、自律性と関係性に着眼しながら、医療の場における自己決定についての考察を試みた。
- 日本生命倫理学会の論文
- 2005-09-19