生命と環境の倫理 : ケアによる統合(第16回日本生命倫理学会年次大会報告)
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概要
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生命倫理、そして人間非中心主義的な環境倫理は、いずれも70年代に主としてアメリカを中心にして登場した倫理である。それらは、原理レベルで大きく異なっているが、ヒト胚、胎児、実験動物に関する倫理や遺伝子操作による将来世代への責任といった重要な主題において重複しており、統合することには大きな意義がある。二つの倫理を統合する概念としては、「権利」、「功利の原理」、「義務」、「責任」は、いずれも大きな難点を抱えている。私は「ケア」概念による統合が最有力であると考える。ただし、そのためには、ケアの多義性を支えるような意味を探求する必要がある。また、感情を基礎にすることのゆえに生じるケアの欠陥を補完する仕方を探らねばならない。前者の課題に答えるために、古代の神道において神を祀るとはケアすることであるという解釈を提示してみた。また、後者の課題のために、ケアと権利の関係等の考察を行った。
- 日本生命倫理学会の論文
- 2005-09-19
著者
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