環境問題と倫理意識 : 地球温暖化と二種類の環境倫理
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概要
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現在世界的に採用されている生存戦略は、地域環境保全とは両立しないものと考えられる。グローバライズされた新古典派的市場経済は世界の富の二極化を促進している。地球環境は、一方においてアメリカを中心とする富裕な諸国での炭酸ガス放出、他方では貧しい地域における生態系破壊という、対称的な破壊構造により温暖化への途をたどっている。新古典派的市場経済は勝者がすべてを取り、敗者は次のニューフロンティアへ移る自由がある(つまり人間活動により環境が影響を受けないほどの広いスペースと豊かな資源のある)「開放系」において理想的に機能する。しかし地球は人間活動の増大とともにその「閉鎖系」(野放しの人間活動を許さないほどスペースがせまく、資源量に乏しい場)としての性格を顕著にしつつある。新古典派的経済主義は「開放系」における「生存戦略意識」、つまり倫理意識に基づくものであり、自律自尊と欲望追及の自由を倫理基準において優先させる。しかし地球は完全な「閉鎖系」であり、現在の人間活動を許容できないため、地球温暖化は進行するものと予測される。環境問題解決には欲望抑制型の閉鎖系倫理が地球的に優勢になる以外に途はない。
- 日本生命倫理学会の論文
- 2005-09-19
著者
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