ポリ乳酸の分解特性とケミカルリサイクル(<特集>循環型社会を支えるラクテートインダストリーの新たな研究潮流)
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概要
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近年,再生可能資源から作られるバイオマスプラスチックの利用が多方面で検討されている.バイオマスプラスチックの優位性は,再生可能資源に由来する点と,たとえ焼却されても炭素の物質循環プロセスの中で再びバイオマスとして固定化・再生される特性にある.その代表的素材がポリ-L-乳酸(PLLA)である.PLLAは,その物性がポリスチレンやポリエチレンテレフタレートに似ているため,汎用プラスチックとしての利用が期待されているが,成形性や耐衝撃性などに難があり,いまだ恒常的な用途は確立していない.しかしPLLAは,その優れた分解還元特性から,原料であるL-乳酸やL,L-ラクチド(乳酸の脱水環状2量体)に変換することが比較的容易である.ただし,原料への変換時にラセミ化が進行し,D-乳酸やmeso-およびD,D-ラクチドへの異性化か起きやすい.PLLAの基本物性は,その高い光学純度によって支えられており,ラセミ化に伴うD-ユニットの混入によって光学純度の低下が起こるとPLLAの物性は著しく低下してしまう.このように,分解還元のしやすさは循環利用にとって不可欠の性質であるが,その反応を制御できなければ,単なる"不安定な使いにくい材料"になってしまう.PLLAが,品質的にまったく低下することなく何度でも再生利用可能な材料となりうるか,その可能性について多くの検討が進められている.
- 2008-07-25
著者
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