Rhizopus oryzaeを用いたL-乳酸の工業生産(<特集>循環型社会を支えるラクテートインダストリーの新たな研究潮流)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ポリ乳酸(PLA)の製造工程は,(1)バイオマスを乳酸発酵し,(2)発酵液から乳酸のみを精製,濃縮し(3)触媒の存在化重合する,の大さく3つの工程に分けられる.それぞれの工程での生産物は次工程での原料であり,そのプロセスや条件を大きく左右する要因となる.一例を挙げれば培地コストの低減の観点のみから不純分の多い糖質(たとえば廃糖蜜など)を原料とした場合,エタノールならば単純な蒸留で分離可能のケースでも,乳酸発酵では中和剤の除去,抽出,およびエステル化など多くの工程を要すため,初期不純物による精製への負荷によるデメリットが大きく,プロセス全体的にみれば原料として不適切である場合がある.このように乳酸の工業生産では,原料選択から始まり全体を通したプロセスの最適化が強く要求される.糸状菌Rhizopus oryzaeは,一般的な乳酸菌が栄養要求が複雑で多くの副原料(窒素源)を必要とするのに対し,デンプンとわずかな無機塩のみで清澄な発酵液の高光学純度L-乳酸を生産することが知られている.発酵液が清澄であることは,後段の精製工程の選択の幅を増やすことが可能となり,大きな利点といえる.本稿では,R.oryzaeを用いた乳酸発酵と,それにつなげるプロセスとの組み合わせによりPLA製造を前提とした環境に調和したL-乳酸の工業生産方法を紹介する.
- 2008-07-25
著者
関連論文
- Rhizopus oryzaeを用いたL-乳酸の工業生産(循環型社会を支えるラクテートインダストリーの新たな研究潮流)
- 3L09-5 Lactobacillus delbruckii IFO3202による新規なD-乳酸の生産法(培養工学,一般講演)
- 3S1AM3 Rhizopus oryzaeを用いたL-乳酸の工業生産(循環型社会を支えるラクテートインダストリーの新たな研究潮流,シンポジウム)