出産後早期授乳場面の時系列的分析

概要

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母子関係を測定するスケールはいくつか報告されているが,出産後早期の母子相互作用を評価する方法はいまだ確立されていない。Kayeは,生後2週までの新生児の哺乳に特徴的な吸啜休止に対する母親の「揺らし」に着目することの重要性を指摘している。そこで,本研究では母子の行動観察を用いて児の吸啜休止に対する母親の働きかけを時系列的に分析し,その関連性について検討することを目的とした。対象は初産の母子4組で,研究協力の承諾を得て出産後4日の授乳場面をビデオで撮影した。撮影した映像は母親行動と児行動にコーディングし,イベントレコードを作成した。分析は各母親行動の頻度に加え,児の吸啜休止後に母親行動が出現する順序(事象連鎖),児の吸啜休止後に母親行動が生じるまでの時間(時間連鎖),自己相関,相互相関などについて時系列的に試みた。結果,新生児の吸啜休止は母親の働きかけを引き出し,母親は児の吸啜を引き出すといった相互の関係が形成されていた。しかし,母親によって行動出現の順序性や反応時間の差異が認められた。以上から,新生児の吸啜休止に対する母親の働きかけは産褥早期の母子相互作用をとらえる一側面になりうることが示唆された。