航海技術の発達史 : 近代Admiralty Chartに至る英国海図史について
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概要
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既述の1600年以後の英国海図発達の歴史について振り返りこれを要約すれば,大略次の三つの時期に分けられよう。すなわち,(1)17世紀初めより18世紀後半迄(黎明期)(2)18世紀後半より18世紀末迄(発展期)(3)18世紀末より20世紀に至る(Admiralty chart時代).Wright,Mercator,Seller,Collins等の英国海図発達に寄与した開拓者によるオランダ流海図製作法の模倣時代である黎明期を過ぎて18世紀後半の発展期に入る。正確な海図製作のために水路測量術に意を用い,Murdoch Mackenzie (Senior),James Cookにより沿岸沖合の測量が行われ,Cookは1768年から1778年の前後10年にわたる大平洋探検航法を行い、史上最大の業績を残した。この発展期において,セオドライト,オクタント,セキスタント,クロノメーター等の器械が新しく発明せられ,測角と時間の測定を可能にした、また三杆分度器により三点問題を解くことによつて組織的調査が行われ正確な海図の生産へと躍進していつた。海軍及び商船の需要は民間業者によつてすべて引受けられ,海図製作の歴史的な黄金時代を作つた。18世紀末に至り,Admiralty chartの時代に入り海軍死蔵の海図資料を使用し,海図の生産管理を司る役所を作つた。これが今日の英国海軍水路部の濫觴であつて,その後次第に発展を続けた結果、民間業者はほとんど没落の運命に遭つた。20世紀初めにEchoSounderが使用されてより正確敏速に測深を行い,海底の形状を一層正確に知ることができた。第二次世界大戦後はLoran,Decca,Consol,Radarのような新しい電波計器が発明せられ,所謂双曲線航法,Radar航法用の特殊な海図が生産されるに至つたのである。
- 社団法人日本航海学会の論文
- 1959-12-31
著者
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