天体方位の変化率(10周年記念号)
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概要
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天体方位の変化率が小さいときに方位を測定すれば測定精度が良いという観点から,その変化率最小の時機について興味が持たれている。Δz=(sinl∓sina sind)/(cos^2a)Δh(1)l(測者の緯度),d(赤緯),a(高度),Δz(方位角の変化),Δh(時角の変化)従来,時角または時間の変化に対する方位の変化量を表わす(1)式を示して,(a)右辺の分母が大きな値をとる低い高度の時機,(b)分子が0となる高度,すなわち最大方位角の時機,を最良とした。その後方位変化の最小の時機は,いちがいに出没時や東西圏上の時機とは言えないことが指摘せられた。(鮫島:船位誤差論51〜56ページ)筆者は,このあと述べるように,それらのことを数量的に検討して次の結果を得た。(a)出没時の方位変化率と東西圏上の方位変化率は等しい。(b)特別な例を除いては,方位変化の最小の時機は出没と東西圏との中間で起こるが,それらの変化率は実質的に差がない。(c)ここに特別な場合というのは,d>1(同名),d=lおよび赤緯と緯度とが異名の場合である。(d)4>1(同名)のときは,最大方位角(limiting azimuth)で方位の変化率は0である。(e)d=lのときは,天体が天頂に近いときに変化率は最小となるが,しかしその最小変化率は出没時の変化率のI/2にすぎない。(f)異名のときの変化率は出没時に最小である。(g)結局,出没から東西圏までの適当な時機に方位測定を行えば,よい精度で結果が得られるのである。適当な時機というのは,羅針儀の据付け位置や使用する方位鏡の構造などによつて定まる時機である。
- 社団法人日本航海学会の論文
- 1957-03-30
著者
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