社会起業家における長期的支援と育成の体制について
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概要
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社会起業家は社会の問題解決を使命として、医療、福祉、教育、環境、文化など幅広い分野で直接的に社会サービスを提供している。一般の起業家が経済的価値を優先させるのに対し、貧困対策やコミュニティ再生、ホームレスの社会的統合、障害者の自立支援といった社会的価値を創出する点が特徴である。筆者は、社会起業家の事業には、対象が社会的弱者の傾向にある点、事業運営での継続性に関して難易度が高い点、社会的な成果が表れるまでに長期的な視点が欠かせないなどの、固有の経営的特性があることを指摘した。したがって、持続可能な成長のための長期的な支援と育成が重要である。さらに、社会起業家の多くは小規模であり、新しいアイデアと社会的使命は持つものの、その事業を普及させ、広く展開させるときに困難を伴うものである。大規模かつ社会的インパクトのある事業展開を可能とするためには、発展段階に応じたネットワーク型の支援の仕組みも必要であろう。本報告では、このような問題意識のもと、アショカ財団における支援と育成の取り組みを考察して、あるべき支援の体制について論じてみたい。
- 2008-06-27