M&Aの経済効果:サーベイ : 買収規制と効率性を中心に
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概要
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日本において1990年代末からM&Aが急増し、ファンドを中心とするアメリカ型M&Aの性格に近づきつつある。この現状を踏まえてM&Aが持つ経済効果について、法規制、市場、産業に与える影響を中心に実証研究のサーベイを行った。買収防衛策などの買収規制に関する主要な研究は、企業買収を妨げる手段はtargetの交渉力を高めるが、取引の障害とはならず、targetとbidderの間の利益配分に作用するが、企業買収の出現率には必ずしも影響を与えないことを示唆している。また、効率性と市場支配力の観点の研究からは、反トラスト法の施行前と施行後の検証から、市場支配力について同業他社に認識できる影響はなく、反トラスト法の制限の発表は同業他社に影響を与えず、合併は企業を越えて資源の効率的再配分を容易にするものと結論付けられている。最後に日本的な事情として、敵対的買収=感情的な議論に陥りやすい傾向の、すなわちコーポレート・ガバナンス問題として議論を深めるべき問題であることに言及する。
- 2008-06-27