ミトコンドリアの膜内外電位差と活性酸素種の産生はSNU-638細胞におけるCCCPのTRAIL誘発アポトーシス増強作用を調節する(生化学)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
TRAILは腫瘍壊死因子ファミリーに属するサイトカインであり,カスパーゼ-8の活性化を介して細胞をアポトーシスに導く.本研究では,ヒト胃ガン出来細胞株SNU-638を用い,TRAILが誘発するアポトーシスに対する酸化的リン酸化の古典的脱共役剤CCCPの影響を検討した.細胞をCCCP処理後にTRAILとインキュベーションすると,そのアポトーシスは,TRAIL単独でインキュベーションしだ場合の2倍に増加した.この際,ミトコンドリアの膜内外電位差の低下と活性酸素種の産生がみられた.この増感は,N-アセチル-L-システインを用いてミトコンドリアの膜内外電位差を回復させ活性酸素種の産生を減少させることで抑制された.N-アセチル-L-システイン処理によりBaxやSmacのようなアポトーシス関連タンパク質の発現にも抑制がみられ,カスパーゼ-8の活性化も消失した.さらに,TRAILによる誘発に先立ってN-アセチル-L-システイン処理を行うと,抗アポトーシスタンパク質Bcl-2の発現が増加した.これらのデータは,CCCPが,ミトコンドリア膜内外電位差と活性酸素種産生を抑えることによって細胞のTRAIL誘発アポトーシスを増強することを示すものであり,TRAILとCCCPの併用が腫瘍細胞,特にTRAIL誘発アポトーシスに抵抗性を示す細胞を細胞死に誘導する効果的な手段となり得ることを示唆している.
- 2008-06-25
著者
-
Kang Seog-jin
National Institute Of Animal Science
-
Chaudhari Atul
Center For Healthcare Technology Development College Of Veterinary Medicine Bio-safety Research Inst
-
SEOL Jae-Won
Center for Healthcare Technology Development, College of Veterinary Medicine, Bio-Safety Research In
-
PARK Sang-Youel
Center for Healthcare Technology Development, College of Veterinary Medicine, Bio-Safety Research In
-
Park Sang‐youel
Center For Healthcare Technology Development College Of Veterinary Medicine Bio-safety Research Inst
-
Seol Jae-won
Center For Healthcare Technology Development College Of Veterinary Medicine Bio-safety Research Inst