20世紀初頭揚子江流域における機械製綿糸の流入と在来織布業
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概要
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本稿では江南,湖北省,四川省を取上げ,インド・上海・日本綿糸間の代替関係と機械製綿糸の流入と棉花生産との関係を検討し,以下の二点を明らかにする。第一に,16番手以下の綿糸は農村部の在来織布業で消費されたのに対し,20番手以上の綿糸は都市部の織布業で消費されたことである。第二に,高番手化の進展した日本紡績業と結びついた湖北省産棉地帯が日本綿糸の流入とともに米国種棉花生産に傾斜したのに対し,江南は上海綿糸の流入とともに在来種棉花生産に傾斜したことを指摘する。このことは,紡績業の高番手化による在来織布業への影響が,機械製綿糸の流入ではなく,米国種棉花生産を通して生じたことを示している。
- 2008-06-25