先行胸部手術例に対する気管環状切除術

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概要

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先行胸部手術施行例に対し,気管環状切除術を施行した。先行手術の影響に対する術前の評価に難渋した。症例1は胸郭成形術の既往を有した搬痕性気管狭窄の56歳男性例である。T字切開で輪状軟骨下縁から第9気管軟骨輪までを切除し,端々吻合した。症例2は左S^<10>肺癌で左下葉切除縦隔リンパ節郭清の既往のある転移性気管癌を有する67歳の男性である。胸骨正中切開で第5〜8気管軟骨輪を切除し,端々吻合した。2例とも気管の授動を行ったのみで,肺門・喉頭の授動,肺靱帯の切離は施行しなかったが,吻合部の縫合不全や狭窄は出現しなかった。皮膚切開・到達経路は病変の占居部位および先行胸部手術の癒着に対する処置を考慮して決定したが,切除範囲・剥離範囲は所期の目的を達成し,授動術も最小限度にすることができた。先行胸部手術症例に対する気管形成術においても,良視野が得られれば手術を成功させうることが知られた。
日本呼吸器内視鏡学会の論文
1992-05-25

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