前立腺癌における腫瘍マーカーの臨床的検討 : Prostate soecific antigen (PA)の臨床的意義
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概要
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Radioimmunoassayによる血清PA値の前立腺癌での臨床的意義を検討した。健康成人男子41例のPA値は2.46±O.36ng/ml (mean±S.D.),前立腺肥大症におけるPA値は4.33±2.69ng/ml (mean±S.D.)であった.後者のPA値は健康成人男子,前立腺以外の尿路***疾患症例のそれより明らかに高値であった.以上の結果から正常値の上限を3.0ng/ml,前立腺肥大症のそれを10.Ong/mlと設定した。前立腺癌におけるPA値はstageの進行に伴い上昇する傾向が認められ,特にstage DのPA値はstage A,B,Cのそれより有意に高かった.前立腺肥大症とのcut-off値を10.Ong/mlとすると,前立腺癌の各stageのPAの陽性率はそれぞれ0%(A),55.5%(B),40.0%(C),73.1%(D)であった.今回の検討においてstage Bにおける陽性率が50%を越えていたことから,PAの測定はPAPの測定より早期癌(stage B)の発見に有用である可能性が示唆された.また, stage BにおいてPAP陰性かつPA陽性例を44.4%に認めたことから,前立腺癌においてPAPにPAの測定を追加することは臨床的に有用であると思われた.さらに,PA値は前立腺癌の臨床経過をmonitorするマーカーとして有用である結果が得られた.PAとPAPの相関は比較的良好(r=0.66)であったが,PA値が1O.Ong/ml前後以下の例ではこの相関が弱くなる傾向があった.PA値と前立腺癌の組織学的分化度とは直接的な関係はなく,またcytosol中のandrogen receptor contentとも関係しないことが示され,PA値はこれらとは異なった前立腺癌の生物学的側面であることが示唆された。
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1987-05-20
著者
-
塚本 泰司
札幌医科大学 泌尿器科
-
梅原 次男
札幌医科大前立腺炎研究会
-
梅原 次男
札幌医大尿路感染症研究会
-
宮尾 則臣
札幌医科大学医学部泌尿器科学教室
-
山崎 清仁
札幌医科大学泌尿器科学教室
-
大村 清隆
札幌医科大学泌尿器科学教室
-
大村 清隆
市立三笠総合病院
-
熊本 悦明
札幌医科大
-
塚本 泰司
札幌医科大学
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