90年代における山村地域の振興と市町村財政 : 熊本県小国町を事例に
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概要
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90年代に入って国の財政構造改革のなかで,補助金削減や景気対策に地方単独事業が組み込まれるなど国の行財政スリム化のしわ寄せが地方へと回されている。同時に分権推進委による提言など,「地方分権」の議論も盛んである。本稿では地域振興の優良事例とされている熊本県小国町の財政構造と地域経営戦略について分析した。本町は地域振興の起爆剤に斬新なデザインの大型木造建造物を数多く建設し,その施設を核にイベント,フォーラム等を行い,そこで得た知見や人脈をもとに地域活動にフィードバックさせ,地域を活性化させている。熊本県下でも有数の林業地であるという優位性を核に継続的に林構事業等を受け入れており,他の過疎市町村に比べて国・県支出金の金額,構成比がともに高い。補助事業によりハードの整備を進め,一般財源等で地域活動に町単独の補助事業として支援している。このように本町の取組みは地域間競争を前提に,国の財政構造改革のなかで進む「地方分権」の潮流に対応するものではある。今後は地域間連携を構築し,どのようにして中央集権的な潮流に対抗していくのかが課題である。
- 1999-10-01
著者
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