韓国山間地帯の農家経済動向分析
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概要
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韓国山村地域においては過疎化が一層深化される中で,住民の所得や生活条件が劣悪化したというだけでなく,地域社会それ自体の維持が困難となっている。山村開発事業の推進により,その問題を改善させ,山村住民の参加を誘導するが,個別農家経済の状況が必ずしも把握されていない。この研究では,山村振興を考えるうえで,農林水産部の農家経済調査結果報告を用い,山間地帯の農家経済の変化とその特徴を分析した。その結果,第1は,山間地帯の農家総所得は,農業所得への依存度が高く,農外所得への依存が低い。農外所得の構造の中で,林業収入の割合が小さく,被贈補助等の収入の割合が高く,農外所得の構造が不安定であった。第2は,山間地帯の農業経営は,畜産物,野菜が増加傾向にある。一方,営農資材,動物・飼料が経営費の主な要因であった。第3は,山間地帯の財務は,純資産額の伸びにより負債の割合は減少したが,いまだにその負債比率(68.5%)が大きい。今後,山村振興を行うにあたっては,多面的活動の農家モデルと,地域特性を生かす林産物,畜産,果樹等への取り組みを含め,複合化への構想が必要であると考える。
- 林業経済学会の論文
- 1998-10-01