北海道におけるトドマツ人工林材の利用の現状と問題点(1996年秋季大会自由論題論文)
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概要
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北海道の天然林針葉樹資源供給能力は極端に低下しており,今後の林産業の発展のためには人工林材の市場形成を図る必要がある。北海道の人工林材利用はこれまでカラマツを中心としてきたが,今後利用可能な人工林資源の中心はトドマツに移行していくことが予想されるため,トドマツ人工林材の市場形成が特に大きな課題となっている。そこで本稿では,現時点におけるトドマツ人工林材利用の現状を明らかにするとともに,今後の市場形成の方向性について検討した。現在,トドマツ人工林材は,その材質特性から構造材としての利用は確立されておらず,大部分は低価格,低質材市場分野に参入することで需要拡大を図っている。こうした状態が続くと,今後資源的な成熟が進むトドマツ人工林材の利用を大きく阻害するのみならず,森林所有者の保育,再造林意欲をさらに減退させ,資源管理に影響を及ぼす危険性が十分に考えられる。このような状況を打開するためには,北海道内の木材産業が技術立地型産業へと構造転換を図り,人工林材を構造材として利用し,天然林材の代替材としての位置を確立させることが必要である。
- 1997-10-01