地方自治体と森林管理(統一テーマ:国際化・分権化時代の森林管理問題,1997年秋季大会論文)
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概要
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戦後,高度成長期に人工林の拡大と「林業近代化」を掲げ,補助金を手段とする官治・集権型の行政支配構造を形成した林野行政は,農村型社会から都市型社会への移行と成熟化に対応できず,その構造の動揺と破綻を弥縫しつつ96年の森林資源基本計画改定に辿り着いた。90年代には,林野行政の下請け補完機構に過ぎなかった地方自治体の一部に,都市型社会の成熟化に対応する自治体独自性の強い森林管理政策の開発がみられ,自治体間格差が現れはじめた。先駆的事例では,都道府県自治体の森林管理は森林のゾーニングと公的管理,市町村自治体では土地利用と環境保全をめぐる森林管理の方向で展開している。現在,分権化推進の動きと行政改革が同時に進行しつつあり,そこでは官治・集権型行政構造の頂点にある森林法と森林資源基本計画の在り方それ自体が問われ,国と地方自治体の新たな関係構築が求あられていると言えよう。
- 林業経済学会の論文
- 1997-10-01
著者
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