国有林野の「公共性」と法制度上の課題(統一テーマ:森林国有の現段階的意義と課題,1997年春季大会論文)
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概要
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わが国では,戦後,公共事業や行政一般をあぐって「公共性」のあり方が問われてきたが,そこでは,基本的人権を保障する「国民的公共性」と大企業の私的利益に奉仕する「国家的公共性」が対立してきた。国有林野事業の目的は,経済的機能及び公益的機能を通じての「国民的公共性」の実現に置かれるべきだが,実際には,改善計画の下で,「国民的公共性」の縮小が続いている。国有林野事業における「国民的公共性」の実現を阻む要因としては,外的要因(国の産業政策・土地政策や官僚主義の問題)と内的要因(「土地所有権の絶対性」と「行政権の優越性」)がある。「国民的公共性」を実現するためには,まず,国の産業政策及び土地政策そのものの見直しが必要であり,その上で,国有林野事業の目的を,(1)自然環境・国土保全を通じて国民の環境権・自然享有権を保障すること,(2)地元地域の振興を通じて農山村住民の生存権・生活権を保障すること,の二点におくべきである。また,行政裁量の範囲を制限するためには,国民・住民による民主的統制の手続きが不可欠であり,国有林野事業の諸計画のみならず,「内発的発展」を実現するための自治体の地域計画においても,住民参加を実現しなければならない。
- 1997-03-01
著者
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