重度精神薄弱児(者)の行動の発達に関する研究 : 臨床的観察から
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概要
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(1)最重度を含む重度精神薄弱児を対象に4種類の行動観察を行なった。(2)観察および記録にさいしては、次の2点に注意した。すなわち、あくまで現象的に行動を観察・記録することと、対象児が自由に行動できる場面で観察することである。(3)5名の対象児の1日の行動観察の結果、30前後の行動の要約が得られた。この要約は、行動の3水準(動き、動作、行動)に分類された。動作を、衝動的動作と意識的動作に、行動を、狭義の行動と意志的行動に分け、要約を分類することができた。これを、行動の5段階とした。(4)1対象児の10年間に記載された行動記録を要約した結果、329の異った行動の要約が得られた。この行動の要約は、163に整理され、30項目に分類された。各項目について得られた行動の要約を追跡的に検討した結果、上記の5段階、すなわち、I・単なる"動き"、II・衝動的動行、III・意識的動作、IV・狭義の"行動"、V・意志的行動(行為)を、行動の発達的段階として考えることができた。(5)常同運動の観察およびその他から、行動の転換に、方向転換、内容転換、質的転換の3つがみられた。(6)6名の対象児に、行動の発達段階を知るため、チェックリストによる行動の記録を試みた結果、行動の発達診断の手がかりを得た。(7)17才7ヶ月で入所し、10年を経過した、発達の著しく遅滞した児童に、在園期間において、行動の発達がみられた。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1970-03-15