ダウン症候群児の記憶保持に及ぼす語の連想価と系列位置の効果
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概要
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ダウン症候群児の記憶を明らかにするために保持に及ぼす系列位置と語の連想価の効果を検討した。被験児はダウン症候群児群10名、対照群として、てんかん精薄児9名、家族性精薄群9名及び正常児群10名を設けた。方法は再構成法、保持項数法、反復再生法、対連合法に依った。刺戟材料は熟知価80%以上の絵カード30枚中から選択して呈示した。各2秒間呈示、夫々の手続に従って10秒後或いは直後の自由再生又は順再生を求めた。得られた結果は次の通りである。(1)再構成法では初頭項系列位置効果が、保持項数法では最終項系列位置効果が明らかに認められた。各群内での年令差はみられない。(2)反復再生法に依って保持をみるとDGとEG,FGとNGが夫々類似の成績を示し、前者の再生率が劣りそして、時間の経過と共に再生率は低下する傾向がみられる。特に、初頭項の減退率が高く最終項はむしろ保持され想起が容易であった。(3)対連合法では共在性の高い刺戟対(Hi)が適中再生率が高く、Loリストの再生率との比較から各群ともMA3才、MA4才児共通して統計的に有意な差が見出された。総じて、ダウン症候群児の記銘学習はそのパーフォマンス水準はより低いが、他の精薄児や正常児と同様な原理に従うものであり、系列位置効果や語の連想価が重要な要因として働らいていることが明らかである。〈付記〉末尾ながら、本実験のために御協力を惜まれなかった。ほたる学園、弥生学園、北保育園の皆様に感謝し、厚くお礼を申し上げます。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1968-10-31
著者
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