重度精神薄弱児の行動を規定する条件に関する実験的研究
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概要
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ろうを伴なった精神薄弱児5名を含む有意味言語を有しない重度精神薄弱児13名を被験者にして、歩行をとりあげて行動を規定する環境の条件を検討した。道具を用いること、道具をつなげないで一定の間隔を置いて並べること、道具の色を組み合わせること、動作指示を与えること、言語指示を与えることの5つを環境の条件とした。次のような結果が得られた。1.行動を規定する条件に一定の傾向が被験者にみられなかった。2.道具を用い、道具は一定の間隔を置いて並べ、色を組み合わせた方が、行動が規定される型の被験者が多かったが、その逆の条件によって行動が規定される型の被験者もいることが認められた。3.動作指示を与えた方が行動が規定される型と、動作指示を与えない方が行動が規定される型の2つの型があることが認められた。また、言語指示を与えた方が行動が規定される型と、言語指示を与えない方が行動が規定される型の2つの型があることが認められた。4.各被験者において、それぞれ行動を規定するために、異なった条件の組み合わせが必要であることがわかった。5.これらの条件と行動との関係を明らかにすることは、把握の困難な重度精神薄弱児の行動特性を明らかにしていく手がかりになることを考察した。本論文をまとめるにあたり御指導いただいた国立秩父学園医務課長高橋彰彦先生に深く感謝致します。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1968-03-31