精神薄弱児における陽性条件反射 : 特に興奮制止の両極性について
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概要
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1.精薄児への単純条件反射実験を行ない、興奮性と制止性の両極性の存在を考究することを目的とする。2.実験群17名、対照群13名からなり、実験群の平均IQは51である。3.手続としては、GSRによる単純陽性条件反射でCSは25psの光刺激、UCSは、500psの強音により、15回の強化試行が行なわれ、その間3回のテスト試行が挿入される。そして実験手順として、順応期、無条件刺激強度判定期、再順応期、強化期、消去期の5期を踏む。4.結果は反応波型、順応過程の定位反射、条件反射形成の成績、消去回数からみられた。5.反応波型の特性は何もうかがえない。6.順応過程の定位反射は傾向としては普通児の方が消失しにくかったが、統計的に有意差はない。7.条件反射形成の成績は先ずテスト試行における反応生起者率でみると精薄児より、普通児の方がより成績が良く、条件反射が形成せられ易いと思える。また、消去期の5回以上消去生起者率も普通児に高い成績がみられた。一方、反応量(テスト試行での)は、精薄児に高く、条件反射形成様相としては、かなりよい過程をたどっているといえる。8.論議は(1)精薄児の条件反射特性と(2)知能と極性についてなされた。(1)反応生起者率、消去生起者率が普通児に高く、テスト期の反応量様相が精薄児にすぐれているという矛盾は興奮一制止の両極性にかたよる三つの分布を想定させる。すなわち、条件反射を形成しえない興奮一制止の両極性により接近した二つの分布と条件反射を形成しうる興奮の極性に近い分布とがある。また、反応量の点から、両群の条件反射様相が論及された。(2)両極性にまたがる三つの分布の要因として、IQからの検討がなされたが、皮質病態が非常に深い場合は別として、とくに関係がないといえる。9.将来の問題としては、"神経の型"への探求がのぞまれるところである。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1967-03-31
著者
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