松林跡地植生の遷移について
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概要
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広島県で約3年前と6年前に皆伐された松林跡地原野の植生を季節毎に調査した。ここは花崗岩の丘陵上で有機質の少ない壌土からなり,北東向きの斜面上にある。1)全地区の草種目録は59科176種でその中,草本が33科109種,木本が25科55種,高等の隠花植物が4科12種で,目録数は新伐採地>旧伐採地>対照林地の順に多かつた。科の中10草種以上を含むものに菊科,禾本科,豆科,イバラ科があつた。2)優占種としてはネザサ,ヒサカキで次がススキ,カンスゲ,ヘクソカヅラ,イヌツゲ,ガマズミであつた。牧養型としては長草のササ-ススキあるいはササ-灌木型と思われた。そして植物の大半は地表,半地中性草本と灌木性木本で占められていた。3)伐採跡地は生草量が約8トン/ヘクタール,禾本科を主とした中等度の採草地となり,元の林内下草ではその約1/3の草量であつた。食性率は6割前後で比較的良好であるが,旧伐採地では最も有害不喰種がはびこり食性率は低かつた。林内産のものは比較的軟かく粗蛋白にとんでいた。これを要するに伐採跡地は皆伐後2〜3年で草種草量ともに増加するが,さらに3〜4年を経過すると跡地原野は次第に荒廃して行く。故に皆伐後は早急に治水利用の対策が望ましい。
- 日本草地学会の論文
- 1960-01-15