禾本科牧草及び麦類の雪腐病に関する研究
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概要
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1.北陸地方では三種の麦類雪腐病菌が分布している。本報告では禾本科牧草及び麦類の雪腐病に就いて実験した結果を記載した。2.圃場における各作物の被害は次の如くである。1)オーチャードグラス,チモシー,ケンタッキー31フェスク,マウンテンブロムグラス等の永年性牧草は雪腐菌核病及び褐色雪腐病による被害は比較的少なく,オート及びイタリアンライグラスに於ける被害は極めて大きい。2)ライ麦及び大麦は紅色雪腐病による被害が大きく特にライ麦ではこの傾向が顕著である。しかし他の牧草類では本病による被害は殆んど認められなかつた。3.三種の雪腐病菌を用いた接種試験の結果は,オート,イタリアンライグラスはPythium及びTyphulaに対して非常な罹病性を示し,大麦及びライ麦は中程度の罹病性を表わした。しかし一方ライ麦はFusariumに対して高い罹病性を示した。4.雪腐菌核病による被害は播種期と関係が深く,牧草及び麦類の播種期が遅れると被害は増大する。移値も亦被害を増大する。5.薬剤撒布の効果は銅剤,水銀剤ともに認められるが,発病の少い場合又は極度に罹病性のものには効果が少い。
- 日本草地学会の論文
- 1958-03-30