乳牛による牧草地の集約的放牧利用に関する試験
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概要
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0.77ヘクタールの牧草地で,4頭の搾乳牛と3頭の育成牛を供試牛として1961年に区画放牧し,牧区別採食期間,放牧間隔,草丈,牧養力,乳量および体重の測定をおこなつた。また牧区数および草丈と採食期間,放牧間隔および牧養力との関係並に放牧と供試牛の健康および繁殖状態との関係をも調べた。これの測定調査から次のようなことが明らかになつた。1.牧養力の大小は草地の区画数,放牧間隔,1区画1回当りの採食期間および採食時の草丈と密接な関係がある。乳牛1頭当りの必要草地面積を小さくし,常に望ましい草丈で放牧するためには,牧区数は少くとも7区以上とし,放牧開始をできるだけ早める必要がある。2.集約的放牧利用では単位面積当りの可消化蛋白質やエネルギーの収量を最高にする必要がある。このためには採食時の草丈を15〜35cmの範囲内にすることが必要であると考えられる。若い牧草は蛋白質含量が高く,繊維含量に乏しいので,正しい飼養のためには,蛋白質含量が低く繊維に富んだ補助飼料の給与が必要となる。補助飼料としてワラ,乾草,ビートパルプなどが考えられる。3.泌乳成績は放牧時においても良好であり,かつ泌乳量の高い乳牛ほど乾物摂取量も多い。体重は放牧中増加または維持されたが,搾乳牛では泌乳量の多いものに減少する傾向があることも観察された。そのほか健康状態および繁殖状態には悪影響を認めなかつた。
- 日本草地学会の論文
- 1964-01-30
著者
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