オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の障害者職業教育訓練の先駆性と課題 : 経済合理主義的教育改革からの検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿では、オーストラリアの障害者教育において職業教育訓練がいっそう推進されている背景について1980年代後半の教育改革から考察し、どのようなカリキュラムをいかなる体制で実施しているのかについてトランジション先進州のニューサウスウェールズ州を中心に検討した。まず、ノーマライゼーションの浸透と時期をほぼ同じくして、同国の経済合理主義的教育改革が障害者教育における職業教育訓練の積極的導入を促したことを述べた。また、障害生徒が卒業後に選択する可能性のある進路先が求めるスキルに照らして生徒の教育的ニーズを把握し、産業界の求めるコンピテンスの獲得状況を教育成果と捉えるなど、教育実践ではノーマライゼーションよりも経済合理主義としての観点が優位であることを明らかにした。障害者教育と社会経済的観点の関係は、多くの先進国で共通した関心事である。それぞれの教育の歴史や遺産を分析しつつ、議論を深めることが求められる。
- 2006-11-30
著者
関連論文
- オーストラリア障害児教育施策におけるインテグレーション・インクルーシブ教育 : 教育結果の追究と障害者差別の禁止
- オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の障害者職業教育訓練の先駆性と課題 : 経済合理主義的教育改革からの検討