特殊学級における多動児の対人意識を高める試み : 小集団音楽活動における身体への働きかけを中心に(実践研究特集号)
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概要
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ことばがあり一見コミュニケーションがとれているように見えても、そのことばをうまく活用して相手とかかわることが難しい事例が見られる。本研究では事例研究を通して、多動傾向で聴覚記憶に優れ、身体の動きがぎこちなく、一方的にことばを用いる児童を対象に、対人意識を高め、場面に柔軟に対応するために、視覚-動作系、聴覚-動作系を重視した指導が試みられた。その際音楽の「規則性」と「親しみやすさ」に注目し、小集団の中で活動を行った。指導の結果、音楽活動を通じて身体のスムーズな動きが引き出され、情報処理能力が高まった。また、相手とかかわる手段が広がり、人と柔軟にかかわることが上手になった。さらに、笑いを通じたやりとりにより、活動がスムーズに行われることが確認された。音楽を導入、活用した指導は、多動傾向を改善し、対人意識を高め、人とのやりとり行動を形成するために有効であることが示唆された。
- 2000-03-30