1997年アメリカ障害者教育法改正の成立過程 : 連邦議会における懲罰論議を中心に
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概要
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アメリカの障害者教育法の最新の法改正は、1997年6月4日に成立した。主要な改正点は、1)補助金算定方式の変更、2)法文の全体構成上の統合、3)事務や手続要件の簡素化、4)親の役割強化、5)調停の奨励や弁護費用の削減、6)障害児への懲罰適用の6点である。これらのうち、特に6)の懲罰問題は、ブッシュ政権が立てた「2000年のアメリカ」以来の一連の国家教育戦略構想の影響を色濃く受けて出てきたものと見なすことができる。本報告では、その背景の下で、今回の法改正成立を可能にさせたアメリカ連邦議会での「超党派的合意」形成の意義について考察した。推進派議員団は、一部の強硬な共和党議員の主張をも取り入れつつ、障害児の権利剥奪につながるおそれのある修正案に対しては、一致協力して反対し、原案の主旨を貫徹させた。その結果、強硬派と権利擁護派各々、妥結可能な内容の法律を成立させることができた。
- 1999-01-30