極低出生体重児の知能検査時の行動特徴と検査結果の関係 : 出生体重差と行動特徴による検討を通して
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
従来、極低出生体重児の知的発達に関しては、出生体重別にその特徴が示されてきた。本研究の目的は、極低出生体重児の検査時の行動特徴と知能検査結果との関係性について検討することである。現在6歳で、学齢前の極低出生体重児36名に対しWISC-R知能検査を行い、母親に対して、対象児の日常生活における行動について面接した。その結果、出生体重別の比較ではIQに差がみられなかったが、検査態度による比較では、検査態度問題あり群が問題なし群よりもIQが低いということ、また、「知識」「類似」「単語」「絵画配列」「組合せ」の下位項目で、検査態度問題あり群が問題なし群よりも評価点が低いということが示された。さらに、検査中の対象児の行動特徴は母親面接で語られた日常生活での行動と一致した。これらの結果より、極低出生体重児のフォローを考えていく場合、出生体重という側面からだけでなく、彼らが示す行動特徴という側面からも、知的発達を考えていくことの必要性が示唆された。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1998-09-30