2次元形成萌芽期にあるH君の労働特性(実践研究特集号)
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概要
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「可逆操作の高次化における階層一段階理論」によって発達年齢2歳前半の2次元形成萌芽期と位置づけられた成人知的障害者(30歳)について過去12年間にわたる指導記録における特徴的なエピソードを類型化することによって、以下6つの労働特性が導き出された。(1)作業行動の中断、(2)作業課題を理解することの困難さ、(3)作業集団における自己中心的対人関与、(4)手の操作から道具の操作への中間的段階、(5)作業成果に対する自己評価の未熟さ、(6)労働活動における直接的動機づけ。このような労働に即した発達特性を生む要因として、この発達段階では反応が固定化しやすく労働活動を営むうえでの基本要素である「目標」、「方法」、「成果」という3要素が混在化した「過程的行為」に向かう傾向にあることが指摘された。したがって、上記の3要素が円滑に連関されるのを援助していくことが労働保障における前提と考えられた。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1996-03-30