ことばの遅れを主訴とする発達遅滞児の指導 : 母子あそびをとりいれた指導
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本事例は、ことばの遅れを主訴として、30ヵ月で幼児ことばの教室に来所した男児を対象としている。本児はおとなしくて手のかからない乳児期を過ごした後、母子相互作用が十分成立しないまま歩行を開始した。多動で聞きわけのない子どもとして母親を悩ますようになり、母子関係はさらに悪化し、ことばの発達も著しく遅れた。母子関係の希薄さと軽度の精神発達遅滞を来たした器質的な要因とが言語発達遅滞の原因と考えられた。そこで、母子関係の改善と対象児の発達援助を目標として指導がなされた。母親に対する受容的な対応と指導場面のあそびに母親にも参加してもらうことにより、母子あそびを大切にし、上手にほめ励ます母親となり、母子関係が良好になった。それに伴い、ことばの発達がみられるようになり、30ヵ月で4語しかなかった表出言語が漸次増加し、46ヵ月には2語文が出始め、54ヵ月には主に2〜3語文で会話するようになった。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1992-11-30