自閉症児・者の認知の特性に関する研究 : 位置関係の理解課題を用いて
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概要
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本研究は自閉症児・者の認知の特性を「統合モデル」という概念により検討するものである。統合モデルは、「取り入れ」から「意味付け」、さらに「維持」という3つの段階から成っている。スクリーニングテストにより「取り入れの段階」をパスしたと判断された32人の自閉症児・者(6〜26歳)が第一・第二実験の被験者となった。第一実験では位置関係の理解課題を用いて16人の自閉症児・者を16人の健常児(4〜6歳)と比較することにより「意味付けの段階」を、さらに第二実験では、同様の手続きで「維持の段階」を検討した。その結果、自閉症児・者は取り入れられた情報を意味付けること及び、それらを維持することが困難であった。一方、健常児については第一・第二実験ともに言語理解能力の発達がパフォーマンスに影響を与えることが示された。本研究の結果より、統合モデルにおける意味付けと維持の段階の困難性が自閉症児・者における認知の特性の1つであることが推察された。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1991-12-27