多動を伴う重度精神遅滞児への動作訓練の適用 : 自己と、自分の身体および外界との関係性に気づく過程
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概要
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脳性まひ児の動作改善を目的とした動作訓練は、不適応行動の改善や心理的活動の開発にも有効であることが示唆されている。本研究では、四這いでの多動と重度精神遅滞を伴う3歳男児における動作訓練の過程を分析し、その効果を検討する。また、動作訓練によって子どもが自己と自分の身体、および自己と外界との関係性に気づき、自分自身の制御に至る過程を明らかにする。一年間の訓練経過は、動作課題の遂行状態および訓練者の動作補助に対する受け入れの変化から5期に区分された。訓練の結果、動作および多動、対人行動、手操作に改善がみられ、重度精神遅滞児への動作訓練適用の効果が示唆された。主な変化点を以下に示す。(1)誘導に応じて、自分の動きを調整しながら動作課題を遂行することが可能となった。(2)訓練時に泣くことが減少した。(3)多動が減少した。(4)自分の手を見たり、動かすことが出現した。(5)介助に対する抵抗が軽減した。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1991-06-30