重症心身障害者の応答行動に関する研究 : 聴性脳幹反応(ABR)無反応者の行動観察を中心とした臨床的検討
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概要
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日常の療育場面で返事することなどで応答行動があると療育者は判断しているが、聴性脳幹反応(Auditory brainstem response; ABR)では無反応な重症心身障害者1事例を報告した。本研究は療育者へのアンケート項目の中から事例の応答行動としている手掛かりをもとに評価することで正しい応答行動を把握できるかを目的に開眼と閉眼による2場面で行動観察を行い、検討した。その結果、(1)アンケート調査で療育者が名前を呼ぶと返事をする、あるいは振り向くという理由から療育者の81%が応答があるとの回答を得た。(2)設定場面における閉眼条件下では、刺激提示前より提示後の行動が明確に増加した。本結果から、ABRの反応閾値には高音域の聴力においてのみ反映され、低音域の残聴を検出できないこともあり、本事例の場合、語音などの基本周波数や主要フォルマントに対して、比較的低周波を含むので、多少とも残存聴力で応答しているのではないかと考えられる。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1989-12-28
著者
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