聴覚障害児(ろう児)の空間概念に関する発達的研究 : 位置関係の理解を中心に
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概要
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本研究では、言語運用に著しい障害を持つろう児にパースペクティブ課題を課し、その解決様式が前操作的水準から操作的水準への転換過程を発達的に検討し、ろう児の認知能力の特性を明らかにすることを試みた。本実験では、課題解決に必要な解決様式から8つのパースペクティブ課題を操作的に知覚的課題条件と概念的課題条件に区別した。その結果、知覚的課題条件では、前操作期にある児童でも課題解決が可能であり、ろう児は聴児と同等のパーフォーマンスを示した。また、概念的課題条件では、10歳以後に70%以上の達成度に達した。ろう児は、聴児と同時期に操作的水準に達することが明らかになった。しかし、前操作期のろう児、特に8歳児は同年の聴児に著しく劣る傾向が明らかになった。また、前操作期のろう児は、同時期にある聴児と異なるストラテジィーをとることが明らかになった。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1985-09-30